1994年9月23日~25日「甲斐駒・千丈岳」

1994923日~25日「甲斐駒・千丈岳」(計17,370円)
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8:54新宿ホリデー快速山梨号JRあずさ回数券5,500
 新宿の特急ホームの入口で待っていると、しばらくして人影があり、振返ると同行する友人がそこにいた。そしてホームに上がるが、特急あずさ待ちは満員の人だ。自由席の方に向かって行き、長い列の一番後ろに並んだが、しばらくすると反対側ホームにホリデー快速が入線してくる。なんとオール二階建ての新車両だ。友人を誘って反対側ホームの一番端まで歩き、1~3号車の自由席に入ると、中はガラガラでラッキーだった。時間は特急と30分しか違わない。ビールを買って乗り込むと、しばらくしてどんどん人が増え、あっという間に満席になった。立川からではとても座れない。
11:00甲府着駅前山交デパートで食材購入3,000
調達する食料をいろいろ迷うが、カレー、ラーメン、スパゲティ、ミートボール、パン、缶詰、クリームスープ、コーヒーのモンカフェを買う。あと米を2kg買う。ハンバーガ500
12:00発バス2,000
バスは登山客で溢れているが、増発便もなく、やっとの思いですべての客が乗り込めた。私たちは後部席にやっとのことで座ることができた。2時間も揺られるのでよく座れたものだ。やっとのことで到着した大樺沢出合で30人乗りマイクロバスに乗り換える。芦安村村営の自動販売機のある2階で往復1,500円のチケットを買い、マイクロバス6台の一番後ろに乗る。
14:00マイクロバスに乗り換えバス往復1,500
私は一番後部席に座り、友人は一つ左前に座る。乗客で補助席もずべて埋まった。杉木立の鬱蒼とした中の北沢峠に着く。
14:40北沢峠
バス停から少し戻ったキャンプ場に行き、たくさんテントが張っている中、端の方にようやく空所を見つけて友人が持参したテントを張る。キャンプ場代800
15:40テントを設営。
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 やっと二人が寝れる長方形のテントで、友人に組み立て方を教わる。しかし、二人なら倍の大きさの正方形のテント型がいいと思う。その後、外で鶏五目御飯を作るが、火力が強すぎて焦がしてしまう。味噌汁を飲みながら少し焦げた鶏五目御飯を食べた。甲斐駒の頂きの岩が白く輝いている。
17:00私は休養不足で、17時過ぎにはテントの中に入り、シェラフに潜り込んで寝てしまう。テント場がいっぱいで、設営できた場所は小石だらけの所だったために、寝がえりを打とうとすると左右の脇腹が石に乗って痛く、気になった。また、テント場の通り道のために、通る人が石を踏んで歩くガラッガラッという音が左の耳元でしじゅう聞こえるのでうるさかった。そんな中で、友人の一人用テントに二人でぎゅうぎゅうになって寝る。
 
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5:23起床曇っているが甲斐駒はよく見える。昨日の鶏五目御飯の残りと缶詰を食べて、出発する。
6:45北沢峠
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 杉木立の中を登って行く。杉木立の雰囲気はとてもいいのだが、急坂でとても楽しむどろこではない。なんとか登り切って高度計を見ると2600mになっていた。
8:00双子山(2643m
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 視界が開けている。水を飲んで、二人の写真を撮ってもらい、アップダウンへスタートする。
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 紅葉の中をくぐって斜面を登り切ると駒津峰に着く。
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 さらに休む間なくとても厳しい尾根を下る。下って、また上るのは嫌だけど、正面には白い岩を纏った甲斐駒が聳えている。直登ルートを喘ぎながら登る。
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 途中で女性が足短くて先に届かないと言う岩も何とか通過し、片ノ背に辿り着き、そこからさらに少し登ると、やっと頂上に着いた。
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9:209:40甲斐駒頂上 直登ルートでバテバテ。ガスで視界が利かない。頂上で両手を合わせて、努力できるような人間なるようお祈りする。その後、風の弱い岩陰で、ちょうどころ良く打たれた梨を食べる。とても甘くて美味しい。ビスケットも食べて水も飲んだ。それからもう一つのピークにも行くと、オコジョがすばしこく動き回っている。ビスケットをやろうとしてもなかなか寄りつかない。なつかない動物は好きになれない。そして下り始めると、少し行くと摩利支天への尾根があり、雲に覆われている中を下って行く。ある程度下ったところで、先ほどの足の短い女性がまだ行きあぐねているので助言し、大股でその女性を追い抜いて下の道に下った時、意を決して摩利支天に登ることにした。
10:20摩利支天
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 登り切って摩利支天に拝んだ後、疲れているので岩にバタンキューと寝そべった。他の人たちは迂回するなだらかな道を登ってくる。そして、また急な直登ルートをどんどん下る。何度も尾根のヒダを越えて、六万石も越え、細い尾根をアップダウンしながら何組かのグループも越えて、また駒津峰に戻る。
11:00駒津峰 休まず直下へ下って行く。逆に登ってくる人たちも多いが、どんどん下る。しかし、かなり下っても、どんなに下っても峠に着かない。やがて高度計が2300m近くになって仙水峠に着いた。
11:45仙水峠
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 ビスケットを食べて水を飲み休憩する。それからガラ場だらけの道を下って行き、林の中をくぐったところで仙水小屋に着き、冷たい水で顔を洗い、さらに下って行く。しばらくして鉄で造った砂防ダムをいくつか越えて行く。こんな山深いところまで人工のものがあることにがっかりする。さらにしばらく歩くと長衛兵小屋が見えてくる。
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12:36北長衛小屋着ビール2800
水場に戻ってビールを買ってコンタクトレンズを外し、テントに戻ってカレーを作るために御飯を炊くが、雨がポツポツと降り始めた。鍋を外に出して弱火でゆっくり炊き、テントの中から火が消えないのを蒸気で確かめながら、少し休んでいる。やがて雨が上がり、外に出て御飯を見てみるとうまく硬めに炊けている。御飯はゆっくり中火で炊かないといけない。その後、カレーやミートボールを作り、サンマの缶詰も出して、できるだけ御飯を食べようとした。しかし、さすがに四杯もお代わりすると腹いっぱいになり、片付けてシェラフに入って眠った。カレーを食べてコーヒーを飲んだ後、テント場が空いたので、キャンプ場入口にもっと近くて平らなところにテントを移設する。昨晩のように石の上で寝がえりを打ちにくいようなことはなさそうなので嬉しい。通り道からも5メートルほど離れたので静かそうだ。トイレや水場も近くていい。ただ、テントが狭い上、夜半寒いので、やはり広い山小屋の方がいい。一人ならこれくらいの密閉されたスペースもいいかもしれないが、二人ならよほど大きなテントでないととても疲れてしまう。テントを移設し終えて、やっと休めそうだ。
15:46外は小雨模様となり、雨がパラパラとテントを叩いている。今日も実感したが、日本の山は急である。このテント場が標高2010mで、甲斐駒の頂上が2965m、その差950m2時間半で登り切った。キリマンジャロでは毎日、標高差1000mを約5~6時間かけて登っている。だからとてもゆっくりで、しかもあまり急激なアップダウンも感じることなく、知らないうちに高度を上げている。日本の山は急過ぎるし、そこを苦労して登っても感動するほどの雄大な景色に出会えない。キリマンジャロに比べると、スケールの大きさでは屋久島でさえ霞んでしまう。美しい紅葉を見に行くとか、よほど晴れて周囲全部を見渡せるようでないと、なんか急ぎ旅のようであまり楽しめない。できればもっと楽しめる山旅をしたい。スイスアルプスの山小屋巡りや湖水地方をまわるなど、楽しみながら夢のような高原を歩きたい。
17:41しばらく横になっていたが、外がザワザワして寝付かれずにトイレに出る。すると小屋の前にパトカーが来ていて、事情聴取をしていた。9人のパーティの中の一人が心不全で亡くなったそうだ。隣のテントの人が大きな声で話している。こんなところまで来てそのようなことになるなんて馬鹿げていると思う。心不全だから突然でどうしようもなかったのかもしれないが。とにかく残念なことだけど、好きな山でのことなのでまだよかったのかもしれない。私はこれ以上家族に迷惑をかけないように十分注意したい。ただでさえ、4年以上思い込んだキリマンジャロと違い、成り行きで来たさして思い入れのないところだから、また、あまりにも急で楽しむどころではない山だから、ここで人生を台無しにはしたくない。もっと目指したいところはあるので、自重したい。
真夜中になってようやく静かになったが、午前零時に降り始めた雨がザアザア降りになる。今日の登りがきつかったので、当初は今のうちに降って明日晴れてくれたらいいと思っていたが、強い雨が止まない。
 
9月25日()
明け方には本降りとなる。こうなると、疲れてもいるから、雨のためにこのまま帰る方が楽だとも思ってじっとしていたら、一緒に寝ている友人がテントの中に水が浸み込んできて冷たいと悲鳴を上げ、なんと起き上って御飯を作り始めた。昨日の残り飯に豚骨ラーメンを入れるが、なんか気持ち悪い。大量に作り過ぎてしまい、食べ切れなかったものは捨ててしまう。外は甲斐駒の方が晴れてきて、これから晴れそうなので、時間が少し遅くなったが、準備して登ることになった。
7:20テント出発
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 森林の急登を1分間に15m登って行く。ちなみに下りは1本間で20mだ。しばらくして北沢峠の二合目に出る。そこから一登りして三合目、ふた登りして四合目、荷物を置いてきたので身は軽いが、もうひと頑張りして、予定より一時間早く五合目に着いた。
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8:20大滝頭(五合目2520m
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さらに300m上の小千丈に登る。
9:00小千丈岳(2855m
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 急登を登って行くと、何と、下の方に巻き道が見えるではないか。それにもめげずにビスケットとパンを休憩で食べて頂上を目指す。小屋への分岐を通り過ぎると、そこから険しくなってくる。高度計が3000mを示してそろそろ頂上かと思ったところ、前方に人の声がして一層にぎやかになってくる。そちらの方に進むと頂上に着いた。
9:50千丈岳頂上(3033m
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 3℃一面ガスの中で視界なし。寒いので、すぐ反対側に降りて行く。千丈小屋までは火口を下るが、途中で二人の女性から巻き道を教えてもらい、私はそちらを下る。友人は直登して遠回りする。
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10:40小千丈下、視界が広がる。そこからは特急のように急いでどんどん下って行く。追い抜いて行く鈍行のおじさんが吹き飛ばされそうだと言う。そんなこんなで予定よりもすっと早く降りてきた。
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11:50北長衛小屋テント着 快晴となるビール800
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 とても快晴になり、シェラフやすべてのものを暑い日射しの下で干して乾かす。ビールを買いに行くが、小屋のおばさんに山のことをいろいろ聞かされて10分ほど遅くなる。急に腹が減っていきなりスパゲティを作り出し、焦げ付かせそうなところ何とか作ってミートボールをかけて食べたらとても旨かった。時間が無くなって慌ただしく片付けて、荷物をまとめて出発した。
13:15北沢峠バス停バス2,010
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 長い行列に並んで乗車し、天気は急に良くなってすべてのものが見えだしてくる。大樺沢で満員のバスに乗り換えるが、夜叉神で人が降りて幸運にも椅子に座れる。バスの車掌はおじいさんで、やたら、左オーライ、右オーライ、前オーライ、下オーライとうるさい。無線で連絡して対向車をやり過ごし、1400mの夜叉神峠を越え、急な下り坂をゆっくりバスは下って行く。乗客がだいぶん少なくなってきたところ、芦安村役場では温泉帰りの人たちが乗り込んできた。おばさんたちがうるさい、うるさい。甲斐駒で亡くなった人のことや、私たちが千丈へ4時間半で往復したことなどを話す。おばさんたちは一生懸命に喋っているが、歯に青のりらしきものが付いていて笑い出しそうになる。そうこうしているが、空は快晴になっている。あと半日違っていたら絶景だった。しかし、たいへん険しい山なみで、やはり広々とした海外に行きたいと思う。
13:3013:45大樺沢出合
15:50甲府
17:10立川ビール460
17:35東所沢

<今回の2泊テントの教訓>
・ポンチョが防寒用に十分役に立つ
・軍手が必要
・下着の着替えをもっと減らした方がいい
・空気枕が裂けてしまった。もっと快適なものが必要。
・二人用テントはドーム型の正方形のものがいい
・食事は7食分なら米2k10合(11.5合)
・スパゲティもパンより旨い。
・ザックが少し小さいので、大きいものが必要。