1996年8月30日~9月5日「北アルプス縦走」③西鎌から東鎌尾根

1996830日~95日「北アルプス縦走」③
92日(月)
18:15双六山荘、槍・穂高が見えて圧巻。素泊・ビール6,300
イメージ 2

イメージ 1
 小屋に戻って御飯を食べ、くつろいだ。
20:0520:47談話室 今日もごっつしんどかった。

93日(火)
3:35起床、お茶漬けとコーヒー飲む。
4:20双六山荘発 満天の星空だが、昨日痛めた両足の踵が赤く剝けていて、歩くたびに痛くてとても前に進めたもんじゃない。ここから道のりはまだ遠い。でもこの状態では一度諦めざるを得ないと弱気になってしまう。しかし一歩ずつゆっくり歩いて、なんとか樅沢岳に登り切る。
5:00樅沢岳(2755m)
イメージ 3この周辺はまったく雲が無く、信じられないくらいの大快晴で、日の出前の大展望が味わえる。今朝はまだ夏だというのに寒くて防寒着が要るくらいだ。慌てず、日程の許す限りゆっくりと行こう。もうすぐ日の出だ。家族の幸せと私自信の願掛けをしよう。
イメージ 65:18日の出
イメージ 4

イメージ 5 清々しい日の出だ。風は冷たいけれども、心が洗われるようだ。家族の幸福と私自身の願掛けをする。今日は信じられないくらいの天気だ。ゆっくり行こう。
イメージ 78:00千丈乗越(2734m)
イメージ 8 喘ぎつつ、誰もいない西鎌尾根を約5時間かけてゆっくり一歩ずつ登り、ようやく槍の肩に着く。
イメージ 9

イメージ 10
9:309:53槍ヶ岳3180m)
 槍の肩からは20分くらい岩を登って頂上に達する。急な岩場だが、梯子などがよく整備されていて登り易い。しかし、高所恐怖症の私には恐い高度感なのでもうこれきりにしたい。八ヶ岳南アルプス甲斐駒ケ岳の間に富士山が見える。こんな好天も珍しかろう。神様仏様に感謝、感謝である。目前には常念が聳えており、さすがに百名山だけあって存在感がある。さらにそこからぐるっと回って大天井、西岳への尾根が見渡せる。西岳から大天井への尾根はゴツゴツとしているが、その先の大天井から常念への尾根はなだらかで気持ちよさそうだ。あそこまで行けるかどうか自信がないが、ゆっくりと行ける所まで行くことにしよう。昨日、笠ヶ岳の一群の山なみから、今通って来た西鎌尾根、そして双六から黒部五郎、三俣、水晶、薬師など、すべてがはっきり見える。笠ヶ岳の向こうには白山が聳えており、祠のある右手には立山連峰後立山連峰がはるか遠くに連なって聳えている。圧巻だ!山頂はポカポカと暑いくらいに暖かい。
イメージ 11
槍ヶ岳より笠ヶ岳、白山方面
イメージ 13
槍ヶ岳より西鎌尾根・双六方面
イメージ 15
槍ヶ岳より西岳・横通岳
イメージ 14
槍ヶ岳より南岳・穂高連峰
イメージ 16
10:09槍の肩
イメージ 17

イメージ 18
10:50ヒュッテ大槍(2860m)
イメージ 19

イメージ 20
 太陽の照りが凄く厳しくなってきた。水俣への尾根は痩せ尾根で結構きつい。こんな高さから下るのかというのをいくつも越えて、梯子も使い、やっと分岐に出る。
イメージ 21

イメージ 22
12:00水俣乗越(2470m)
イメージ 23 これから西岳への標高差290mを一気に登って行く。疲れているので1時間半くらいかかるかもしれない。
13:3050西岳山荘(2758m)山菜うどん・ジュース1,100 ここへの登りでまたまた本当にバテた。鋸尾根のアップダウンは最も嫌いな所なので本当に辛かった。たった200メートルの登りに1回のアップダウンなのに、1時間半もかかった。参った、参った。これからは比較的やさしい尾根のはずだと期待する。800円の山菜うどんを食べたが、とても旨かった。槍ヶ岳などの峰々の3000m以上にガスがかかる。
イメージ 24

イメージ 25
16:13大天井ヒュッテ
イメージ 26 西岳からここまでは割と歩き易い尾根だったけれど、目をつぶって歩けるほど広々としているわけでもなく、完全にバテているので辛かった。
17:03大天荘
イメージ 2717:18大天井岳2921m)
17:30大天荘          素泊り・ビール等6,000
 自炊しようとしたが、水がない上に、テレビの前にあんちゃん達が数人たむろしていて馬鹿らしくなってきたのでやめた。明朝一番で御飯を炊いて弁当を作り、水がないから十分節約して、弁当とラーメンは明日の昼と夕方の分に取っておこう。
槍ヶ岳は本当にすごい形をしていた。西から見ても東から見ても圧巻の姿で、写真のままだった。このように雲ひとつない日の、ちょうどガスもかからない時間に登れたことは幸運だ。遠く富士山や八ヶ岳浅間山から苗場山系、妙高、そして立山、後立山、白山、さらには言うまでもなく北アルプスの全容がすべて見渡せた。おまけに平日なので人がほとんどいなくて、待たされるということが全くない、かえって孤独に感じるほどの山旅だった。ただ、踵の靴ずれや足のマメが酷くて、特に東鎌尾根ではたいへん苦労した。鋸尾根でのアップダウンがほんとうに酷くて、最後はたった290mの標高差を登るのに1時間半もかかってしまった。日本の山は険しい。本当に気持ちの良い尾根は双六岳辺りと太郎平から黒部五郎岳の稜線だけで、あとはどこも痩せ尾根で気を使う。山の頂上での大展望はいいけれども、日本の山は険しいから、そこまで行くのに本当に辛い。キリマンジャロのように、登っている時も緩やかで、知らない間に高度も上げていたような壮大な山がいい。スイスアルプスの高原のような所がいい。百名山を一巡したら、次はやはり海外だ。大天井の祠にもお願いしたが、これからの半生を海外で仕事をして暮らすことが自己実現なのだ。そうできるよう、登山のように一歩ずつ努力しよう。

94日(水)
3:00起床 両足の踵が赤くただれている。痛いけれども前に進むしかない。周りは真っ暗だが、足を痛めている以上、早く出発してスピードの遅さをカバーするしかない。外は星が出てガスは無く、今日も物凄くいい天気になりそうなのが救いだ。特に尾根筋を歩く午前中はいいだろう。天候にこよなく恵まれたことに感謝する。コースタイム通りだと奥穂山荘へは18時~19時の到着となる。少しでも早めるか、最悪は涸沢小屋泊りにしよう。とにかくあと少しなので、無茶をせずにゆっくりと行こう。
4:20大天荘発
5:22日の出、東天上岳を巻いて横通岳に向かう辺り
イメージ 28 雲があって、そこから太陽が顔を出すのに少し時間がかかる。すこし冷たい風が気持ちよく、はるか右下の沢の音以外に何も聞こえない。新しい日の始まりだ。
イメージ 296:45常念小屋(2466m)
イメージ 31

イメージ 30