1994年5月29日「磐梯山」

1994529日「磐梯山(計14,280円)
4:46東所沢JR4,220
宇都宮で新幹線に乗り換える。特急券2,470
7:56郡山着弁当、ビール1,770
8:23快速発そば310
9:04猪苗代笹団子850円、タクシー1,560
9:20スキー場
イメージ 1  タクシーを降りてどちらに登っていいのかわからないまま、スキー場のゲレンデをリフトに沿って延々と登ってリフトの頂上まで行く。リフト二つ分登ったが、けっこう急坂で疲れた。途中でパラグライダー教室を行なっていた。おじさんライダーもいて、きっと面白いのだろうと思う。いつかやってみたいと思うが、今日は登るのみだ。そこからは尾根伝いになる。
イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4
10:15一合目  汗びっしょりになって馬返しまで辿り着き、天狗の庭という尾根に入る。
イメージ 5
  そこは新緑の低木で、その中の岩の間を抜けていく。まるで庭園のようで気持ちいい。ピンク色のツツジが残花を残している。左上に見上げる磐梯山は新緑に覆われて見とれてしまう。
イメージ 6
 しばらく高度差のない尾根を歩いていくと、道は左に折れ、そこには急に沼が点在するようになる。
イメージ 7
 そこからも整備された道が続く。想像していたよりも沼ノ平はずっと広く、かなりの間、その湿原を横切っていく。蛙の鳴き声がゲロゲロと煩いが、鳥のさえずりも聞こえる。標高1000メートル以上の高台にぽっかりとできている天上の台地だ。
イメージ 8
 
イメージ 9

イメージ 10

イメージ 11
 はるか向うに見えていた尾根を登って、火口壁の淵に出る。向こうは一転して噴火による土砂崩れになっていて、さらにその向こうに湖などの裏磐梯のリゾート地が見える。
イメージ 1211:20噴火口 少し休んだ後、一気に頂上目指して登っていく。まず一段目の丘を登ると、有難いことに水量豊かな黄金清水に着く。すぐ横にガラスのコップを置いてくれているのも気がつかないまま、手で掬って慌てて4杯がぶ飲みする。冷たくてとても旨い。そして、次に二つ目の段を登っていくと、右手に平原が広がっている。八方方面への分岐だ。さらにもう一つ登ると、弘法清水の小屋があり、多くの人が休憩している。
イメージ 13  ただ、ここの清水は水量が少なく、さきほどの黄金清水でたくさん飲んでよかった。私はそのまま休まずに一気に頂上を目指す。火口淵で、そのまま降りたい気持ちにもなるが、あと1時間の登りで終わりだと自分に言い聞かせる。
イメージ 14
  多くの人たちとすれ違い、左に先程の沼ノ平へ真っ逆さまに落ちている崖の端を通って、一つ二つ折り返しを登ると、そこは岩で固められた山頂に着いた。
12:0012:30磐梯山山頂(1819m)
イメージ 15  山頂ではたくさんの人たちが弁当を食べている。私はビールを飲んで、そしてクリームパンを食べる。
イメージ 18

イメージ 16
  磐梯山は予想よりずっといい山だ。今日はすこし靄がかかっていて、特に南の猪苗代湖会津盆地方面がうっすらと白く覆われている。しかし東の安達太良山や吾妻山ははっきり見えている。また、湖がたくさんある北の方面は青空がのぞいている。虫が多いのだけが気になるが、風は涼しく気持ちいい。独立峰で尖がっているから、360度の眺めだ。
イメージ 17
  猪苗代駅と湖の方面は田植え時の水の一杯張っている水田が広がり、その間にちょこんちょこんと民家がある。水田も湖のようで、猪苗代湖2倍の大きさに見えてしまう。右手にも広く空間が広がっており、そこも湖の続きかと思っていたが、そうではなく、会津盆地だとわかる。とても広い。これくらい広ければこのような山奥でも一つの文化の中心地になるわけだ。磐梯スキー場を登ってきたが、そそり立つ磐梯山に取り付く新緑がたいへん美しかった。そして沼ノ平は予想以上に広く、低木の緑の箱庭の中のような整備された道を、すいぶん長い時間かけて散策できた。家を出る時はたいへんだるかったけれども、やっぱり来てよかった。そして、百名山に選ばれている山はいい山が多い。やはり一度は登るべきだと再認識する。家でじっとしていることなく、できるだけ多くのところに出かけていこう。
イメージ 19 帰りは表磐梯の押立温泉に下ろうかとも思ったが、違う景色も見たいのと、本当の縦走をしたいために川上温泉に下ることにした。
イメージ 20
 途中、弘法清水のところで転んで左ひざを痛めるが、何とか下っていく。
イメージ 22
 火口の分岐からは一人歩きとなる。こんな急なところを下っていくのかと不安になりながらも、ゆっくり行こうと自分に思いきかせる。
イメージ 21
 岩の間を左右にステップしながら、登ってきた道とは全く違う殺伐とした火山帯を降りていく。途中からは危ない斜面に階段状の木道が下までずっと設置されている。
イメージ 23
 多少怖いくらいの高度感だが、通ってみると何のことはなく、一気に林の中まで下っていく。
イメージ 24
 下りきったところは、言葉では形容し難い平原になっていて、砂の湖に点々と新緑のブナなどの広葉樹が、所々、まるで島のように密生している。
イメージ 25
 上から見えていたのよりもずっと素晴らしい景観だ。上高地大正池のような感もあって、別世界のようだ。特に新緑の葉がパステルカラーの緑そのもので美しい。このような景色が見られてとても幸せだ。
イメージ 26
 この高原から下る時、少し急斜面だがすぐに緩やかな下りとなる。そこは一転して熱帯林というか、北海道の原始林のような大きなシダが円形状に生えていて、たくさんあって気持ち悪いくらいだ。まさに熱帯雨林のような深い森の中を1時間近く歩いた。
イメージ 27 勢いのある原始的な小川を越えると、もうすぐ下に車の通過する音が聞こえるようになる。そしてしばらく下ると、廃墟となった川上温泉ホテルに出る。車道に出て、バス停に行き時間を確かめると、1時間近くある。そこで入浴だけできるところを探すが、ホテルが無くて民宿ばかりしかない。ようやく「すぐ入れます」という看板を見つけた。わりと小奇麗な民宿で、玄関に入って聞くと500円で入泉できると言う。すぐ靴を脱いで料金を支払って風呂のほうに行く。荷物を整理してトイレにも行き、先に風呂場に入っていた5、6人のグループが出てくるのを待って、一人でゆっくり入る。
イメージ 28

 窓は裏山に面して開け放していて、お湯はそのまま山から引いているのか木の葉などのゴミが混じっている。温泉はとても体が温まって気持ちいい。頭も洗うが、冷水は耐えられないくらい冷たい。こんな民宿でゆっくり泊まってみたい気がする。バスの時間に合わせて民宿を出る。靴を履いて出るまで、宿のおばさんが見送ってくれた。
14:3015:20川上温泉入泉料500円、バス610
イメージ 29

イメージ 3016:06猪苗代JR1,260 
16:38郡山
 そして夕方から夜にかけて途中小山で人身事故のために30分遅れるが、鈍行を乗り継いで帰った。
21:55東所沢着ビール、牛丼730
 山は実際に登ってみないとわからないものだ。まったく関心の無かった磐梯山が、登ってみると結構印象に残る山であったりする。だから、百名山はすべて一度は経験してみたい。ただ、百名山登頂のみを目的とするのではない。先日の屋久島の宮之浦岳のように霧中の頂上を視界の利かないまま縦走してもつまらない。晴れて全貌が見えてこそ、宮之浦岳の特色がわかるのだ。すべて形式的に登破して、それを他人に自慢するようなのではつまらない。例えば北海道の十勝岳に登るのであれば、南大雪を縦走して、できるだけ多くその山旅を味わいたい。一つひとつを大切に、しかも時間も大切にしてできるだけその山の良いところを見るようにし、紅葉のいいところはその季節に、新緑がいいところはそのシーズンにというように、できるだけ想い出に残るような山旅をしていきたい。そしてだんだん慣れてくれば、雨の日でも行けるように、そして釣りや野草も楽しめるように、また、山小屋の人とも知人になるように幅をどんどん広げていきたい。