1990年6月30日「栗駒山と遠野の里」

1990630日「栗駒山と遠野の里」(計23,590円)
6:00上野 やまびこEきっぷ15,450
8:38一ノ関
8:50発 バス1,990 曇天で小雨もちらつき、須川温泉の手前までは濃い霧で登山への不安も頭をかすめたが、何かを頼りに行こうと達観してもいた。
10:29須川温泉
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 須川温泉に着くといきなり大日岩が聳えていて、硫黄の漂う池があり、別世界を思わせる。
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 お花畑まで霧が濃く、今日はずっとこのままかと思ったが、広い高原に出てから青空が少しずつ広がり、しばらく登ると栗駒山のなだらかな山容が姿を現し、快晴のハイキングになってくる。
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 頂上へ行くと、日本海側は完全な雲海で、遠く北に鳥海山が富士山のように聳えるまで一面天上の世界であった。雲は太陽光に輝き、下方の山の斜面に打ち寄せてきている。涼しく速い風が低木を揺らせ、まるで波音のように聞こえる。途中に昭和湖があったが、そこはエメラルドグリーンに染まり、まったく汚れのない青空を映している。そこに自分の顔を映したらどんなだろうか。きっと、弱くて頼りない、いつまでたっても精神的に未熟な人間に見えただろう。
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11:45栗駒山頂 頂上は快晴だが、梅雨で下界は雲海に。頂上から見下ろすパノラマは壮大で、南側からは雲海が押し寄せてくるが、北側は栗駒の斜面で砕かれた雲が積って比較的晴れている。岩木山かと思った大きな山は鳥海山であった。その姿は富士山に似ていて、均整がとれ、所々に残雪を被っていた。雲海は太陽の光に照らされてキラキラと輝き、一段高い層の曇天の雲と一緒に青空と海面の関係を見せているかのようだ。新幹線から見た世界は、一面に広がる田畑だったが、曇りの中で暗い影を落としていた。その雲の上から見て下界を想うとどうだろう。ゆっくりと考える時間がなかったので整理がつかないが、雲上の世界は遠くキラキラと輝いていて、明らかに暗い下宿の四畳半とは違う。しかし、その一部が斜面に押し寄せてくると一抹の不安がよぎる。気持ちの基幹がやはり落ち着いていないのかもしれない。
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 下山の分岐点で、軽い気持ちで珠岳の方に進む。
イメージ 1713:00珠岳山頂 途中に会った夫婦連れに聞くと、珠岳からも須川温泉に降りられるそうだ。小安温泉の方は車なら2030分だけれども、歩くとだいぶあると言う。それでも湿原で泥だらけになりながらどんどん進み、ドライブウェイまで降りる。峠のパーキングにいたおじいさんに聞くと、下まで約四里(12km)あるが、下りだから若い人の足なら大丈夫だと言ってくれた。そうして歩いて下っていると、白い小さな車が止まって下の小安温泉まで乗せてくれた。車で通ってみると実際には相当遠く、とてもしんどかったので運が良かった。
15:40小安峡温泉 元湯のバス停でサッポロビール500mlかりん糖を食べている。西日に照らされて結構いい気分だ。湯沢まで出て特急で山形に帰り、とりあえずはそこで考えよう。
17:08発 バス950
18:18湯沢
18:43発 つばさ13
19:57秋田 ホテルHAWAI駅前店5,200 疲れていたのもあるのか、すぐに音信不通になった彼女の悲しそうな顔が浮かんできて胸が一杯になる。彼女がいるから張り合いがあったのに、もう来ることない下宿の部屋にぽつんと一人でいるのはやりきれない。

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8:00秋田発 たざわ6
9:53盛岡着 時間があるので盛岡市内をぶらぶら歩く。今朝6時にタイマー鳴ったのは覚えているが、右足の痛みがひどく疲れも溜っていて起きられず、鳥海山田沢湖の駒ケ岳は断念した。心身ともに疲れていたので、乳頭温泉に行って温泉につかってこようかとも思ったが、天気がいいのでハイキングを捨てられず、時刻表でいろいろ調べた。八幡平なら行けるが、電車の中で疲れが取れないことを自覚し、電車に乗ってぐるぐる回ることにした。八戸を回って三陸鉄道行くのは時間的に無理、宮古や釜石への往復も無理で、遠野まで行ってゆっくり散策して帰ることにした。快晴の盛岡は静かで、少し歩くと雫石川に出会う。
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 川端には青紫の紫陽花がいっぱい咲いていて、楽しそうに太陽の方に向いている。遠く川上には岩手山が聳えていて、暗いイメージのあった東北ではない、自然の雄大な景観が見られた。10分ほど歩いて着いた盛岡城は、建物がなく城壁のみだが、木々が繁って廃墟という印象ではなかった。二の丸には石川啄木の歌碑があり、彼が幼少の頃にこの近く200mの盛岡中学校の授業をさぼってここに来て、寝転んで空を見上げると、吸い込まれそうだったというようなことが書かれている。残念ながら、今は手前のビルのせいで岩手山が直接見えないが、当時は高層建築はないはずで、きっと城址からの眺めは雄大だったのだろう。
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13:00遠野着
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 河童淵では、全くの静寂の中、底が深く澄んだ小川が流れていた。小川と言っても水の流れは速く、深いので足が取られて溺れてもおかしくない。うっそうと映った木々、草などの中で暗く流れているので、夜になると本当に河童が出そうだ。
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イメージ 25 隣の常堅寺はアヤメが美しいが、昔、馬を溺れさせたりしていたずらをしていた河童が、改心して母や子の守り神となったそうで、寺が焼けた時も頭の皿の水を投げかけたという伝説が残っている。だから、寺の入り口の両脇の駒犬は頭が平べったく、雨が降るとたまるそうだ。
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なんとなく佇まいが奈良の新薬師寺飛鳥寺に似て静かで、ここなら集中して行を勤められそうな気がする。
15:20発 急行 陸中6
15:55新花巻着
16:22発 やまびこ80
19:28上野着