2000年8月5日~11日「北海道」②根室牧場、愛山渓から大雪山お鉢平・美瑛岳」

200085日~11日「北海道」②根室牧場、愛山渓から大雪山お鉢平・美瑛岳」(計69,504円)
87日(月)コンビニ1,200
16:0016:30根室初田牛の和嶋邸
 いやはや初田牛周辺は立派な雪除けのついた農道があり、びっくりするほど道が良くなっている。初田牛の駅だけがポツンと取り残されていて昔のままだった。
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 駅より確か3キロくらい根室よりに牧場があったはずだが、迷い迷い、一つ一つ牧場の名前を確かめながらいくが、小笠原牧場で迷う。諦めかけていた時に見覚えなのある家と左が林になっている牧場が見える。
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 最初は通り過ぎてしまったが、一軒ぐらい聞いてみようかとUターンして戻ると、ちょうどその農道に右折していく車がいて、聞いたら、学生の頃にアルバイトした牧場主の和嶋さんの弟さんだった。俳優の刈谷俊介似で「まあいいから、お茶の一杯でも飲んでけよ。」と誘ってくれる。昔にお世話になった見覚えのある古い家の隣に、立派な家が新築されていて、そこに通されると、しばらくして昼寝していた和嶋さんがやってくる。
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 当然、たくさん学生がいたので私のことなんか憶えていない。しかし、小柄だけれど眼光鋭く、なんとなくおばあちゃんのような風貌の和嶋さんは健在だ。
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 私がアルバイトした20年近く前からいろいろあったそうで、訥々と話し始める。保証金のことで農協ともめて追い出され、バブル景気の頃に京都で解体業の仕事をやっていたそうだ。あのモーレツな仕事ぶりが親方に気に入られ、解体前の段取りを任されたそうで、家の解体時に出てくる金目のものを貰えたそうだ。そのモーレツな仕事で3年間で2000万円も貯め、そうこうしているうちに弟さんが1400万円返せば初田牛に戻っていいと話をつけたそうだ。当時は弟さんが継ぐのであれば農地は手放さなくともいいということで弟さんが残っていたが、返せるわけがないとタカをくくっていた農協の役員の前に札束を積むとさすがにびっくりして、懸命に金を数えたそうだ。人間が大金を前にしたら態度を急変させる浅ましさを兄弟そろって語る。もしその時に北海道に帰らなかったら、その後に発生した阪神大震災で大儲けで来たなあと笑う。そして私に向かって、20年前はまだ個別に縛って収穫していたたいへんな重労働の頃で、ほんとうにたいへんな重いをさせたなあと言ってくれる。こんな所には二度と来るものかと思って当然だが、こうして来てくれて良かったとも言ってくれる。これからはいつでも泊まりがけで来て下さいとも言ってくれる。当時は物凄く厳しい人で、確かにこうした話ができる日が来るとは思いもしなかった。20年の歳月がすべて洗い流してくれた。また、その当時に飼っていたコリー犬とスピッツのアビのことなどの昔話に花が咲く。住み込みで働いていた北角幸吉さんは、今は川湯のどこかのホテルで調理人として働いているそうだ。そうこうしているうちに時間がたち、今日は突然来たのでそろそろ失礼することにした。しかし、和嶋さんのモーレツな仕事ぶりには考えさせられる。不可能を可能にする仕事ぶりだ。人の嫌がることを人の何倍も平気でする。そうしたら運も向いてきて、財産も無くさずに済むのだ。道東をいろいろと見て回ったけれど、北海道で仕事をして暮らしていくことは大変だと実感し、自信は薄れてきた。ただ、逆に言えば、和嶋さん並みのモーレツな努力をすればどこに行っても何とか突破できるということも言える。大切なのは場所ではなく、人の嫌がることをとことんやり抜いていく心構えなのかもしれない。今の私に必要なのはそういうことだと教えてくれたのかもしれない。
イメージ 517:40厚岸「海鮮焼ゆっけ馬場商店」刺身焼魚定食2,050
19:30釧路ホテルアダチ 宿泊料5,775円 給油3,465円、帽子・シャツ6,426円、ビール1,200
 
88日(火)
 8:10ホテル出発
8:20釧路の朝市 ボリュームたっぷりホッケ焼定食800
イメージ 612:00阿寒湖畔 マイコタンの土産物屋の並ぶ通りをウロウロするが、あまりいい品は無かった。コロボックルの木彫りは、粗いものでも4000円もする。ずいぶん前に祖父母に買って帰ったものなら今は1万円してもおかしくない。
13:00置戸のオケクラフト見学 白い松の木目を上手く使ったお椀などは美しいと思う。湯呑もこれでお茶を飲むと懐かしくて美味しい味がしそうだ。また、軽くて洗練されているのがいい。ただ値段が高すぎる。コーヒーカップ4000円前後もするし、お猪口でさえ20003000円もする。いくら難しい技術を使っても、いくらなんでも高過ぎる。この辺りの北見地方の村々は、このようにみんな木の展示や物産館を持っている。できればみんな回りたいが、天気が悪くて登山できなかったら考えよう。
14:20置戸駅前 そば屋「いなだ屋」・食料4,000
17:20愛山渓ヒュッテ 宿泊料2,500
 ヒュッテは2階まであって私を入れて4人しかおらず、夏休みなのにすごく空いている。山小屋と同じで旅館と比べたらきれいではないが、この料金だから当然だろう。温泉前にバスも待っていたが、おそらく乗る人もいないだろう。阿寒の方と違って空はだいぶん晴れてきている。明日天気が良ければ、大雪の方に登ってみよう。この愛山渓温泉は人気が少ない。温泉は少し酸っぱく感じるが、鉄分が多い泉質だ。ひなびた宿だけど、人が少ないので結構いい。縦走の起点か終点に使える。同じ料金なら吹上温泉の方がサウナもあってきれいでいいが、ここもそれなりにいい温泉かもしれない。
 
89日(水)
 4:00起床、晴れているようだ。昨晩もビールの飲み過ぎのせいか、いっぱい夢を見てしまったので、寝言もたくさん言ったかもしれない。訓練校の先生に私だけ求人が来てないとか、密かに想いを寄せて靴を磨いてくれたりしている女性がいるのだから独りよがりになるなと姉から注意されたり、ストレスが溜まっているのだろう。
 5:00愛山渓温泉出発
 8:00永山岳
イメージ 7 標高1700mまでは朝露でびっしょり濡れた林の中を草や木の葉をかき分けていたのでズブ濡れになる。風はあまりないが空気は冷たい。下からガスは出始めているが、ここは天上の世界で晴天だ。露などで濡れているので、どこからが汗かわからないけれど、あまりしんどいという感じではない。やはり大雪は雄大だ。
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イメージ 109:30北鎮岳
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イメージ 13 雄大なお鉢平が眼下に見える。黒岳に向かう雲の平ははるか下だが、たいへんなスケールだ。アルプスのように急な斜面もなく、ほんとうに雄大な丘陵が広がっている。こんな景色はここしかない。
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イメージ 1910:30中岳分岐
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11:30裾合平分岐
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イメージ 2412:00当麻乗越
イメージ 2614:3015:30愛山渓温泉 入浴650
18:20美瑛 焼肉定食他2,300円、給油3,704
19:00吹上温泉 宿泊料2,600円、ビール400
 この施設は冷蔵庫など自炊用のものがすべて揃い、お湯もポットで沸いている。凍えるほど冷たい水風呂もあり、施設全体も清潔なのでとてもいい。ゆっくり入れる露天風呂からは夕陽も見える。今日は疲れていて本を読む気力も出ない。
イメージ 2920:00就寝 夜半零時に目が覚めて、外を見ると冷たい風が入ってきて星が燦々と輝いている。明日も晴天だろう。
 
810日(木)今朝は体がしんどくて起きられなかった。昨晩もうなされたように思う。憶えていないけれど、いろんな夢を見たかもしれない。ただ、筋肉痛が23日遅れではなく翌日に出ることはいいかもしれない。単なる筋肉痛というより、ビールの飲み過ぎに疲れが加わって消化できず、内臓が弱っているのかもしれない。それなら考え物だ。4時の目覚ましには反応したものの、そのまま6時過ぎまで寝てしまう。でも、あまりに快晴でもったいないので、頑張って登ることにした。
 6:00起床、カップヌードルとトマト、リンゴで朝食
 7:16望岳台、大快晴で登らざるを得ない。朝起きた時は体がだるくて、とても登れるような感じではなかった。しかしあまりの快晴にもったいないと、義務的に登り始める。当初は良かったけれど、美瑛岳への最初の谷で雪渓が崩れていたので上に迂回し、その後のハイマツの中の急登は、コメツキバッタのような小さな虫がいっぱいたかってくる。ようやく岩場に出ても、まだ虫はいた。相当上に登ってようやく虫から解放されたが、今度はバテているのに200mくらいの急な登りで本当に疲れた。
10:50美瑛岳直下でヘロヘロ
イメージ 2711:20美瑛岳頂上(標高2052m)
イメージ 28 ガスがかかっていて眺望がきかない。十勝岳から縦走してきた人と知り合いになる。その人が言うには、十勝岳を回ると時間がかかり過ぎるというので、一緒にそのまま下ることにした。その人は全日空の整備士で北海道の稚内空港に単身赴任でいるそうだ。高校時代に登山部にいて、その指導の先生が神奈川なのに北海道から大雪山までいろんな所に連れて行ってくれたそうで、それを20年ぶりに再確認して登り直しているそうだ。稚内の人は冬はみんな家にこもっているそうで、真冬の北アルプスのようらしい。また、北海道に住むならマンションの部屋は上下横横の真ん中に住んだ方が暖房効率がいい。札幌に住むなら何でもあるからいいんじゃないと言ってくれる。
14:30望岳台
15:0016:00吹上温泉(白銀荘)宿泊料2,600
イメージ 30 一緒に吹上温泉に入ってお湯に浸かり、またいろいろお話して、最後に「また逢いましょう」と言ってくれ、外までお見送りする。美瑛岳の往復で疲れ、十勝岳までぐるっと一周できなかったが、全日空の人と知り合いになれたのは財産だ。頑張るとこのようないい出会いがあったりして、いいことは必ずあるものだ。
17:2018:30 昨日濡れた重登山靴にワックスを塗り、全日空の人を見送って、荷物をまとめて白銀荘に入る。サウナにどっぷり入り、夕陽を見ながら凍えるくらい気持ちのいい水風呂に入って、体重は77.2kgまで下がった。その後もう一度車に戻って、ホーキンスのトレッキングシューズの左足つま先が剥がれているので、ボンドをたっぷりつけてガムテープで固定した。そうしてようやく部屋に戻りくつろいでいる。今日は中途半端になるかと心配したが、結局は標高差1000m、時間にして7時間も登った。残念ながら十勝岳への縦走は果たせなかったが、全日空の人と知人になれ、かけがえのないご褒美をもらったような気がする。頑張れば本当にいいことがあるものだ。
 
811日(金)
 7:00起床、朝風呂に入るが、外は雨が降っている。
 8:00吹上温泉出発
10:30コインランドリー700円、フィルム・バンドエイド1,000
12:0014:00旭川市役所前で利尻で知り合ったホテルマンの兄さんと待ち合わせ、郊外のビアホールのようなレストランに行って昼食(豚の生姜焼き定食)をご馳走になる。兄さんはホテルの飲料部副マネージャー的立場まで出世したが、そこまで育ててくれて頑張れた元上司から誘われて、旭川のもう一つの勢力のホテルに移ったそうだ。しかし、その上司もリストラで古い方のホテルに移され、兄さんもそこへと言われて話が違い自分の能力が発揮できないとのことで辞めたそうだ。そのためにもう旭川のホテルには戻れないので、仕方なく東京で渡り鳥のような派遣の仕事をしているそうだ。能力あるならまた声がかかるかもと言えば、どちらにしてもそのような対人接客の仕事はいつまでもやるつもりはないのでもういいと言う。日高のように奥が深くてあまり知られていないようなところをガイドするようになりたくて、この8月はまるまる北海道の山を登っているのだそうだ。
14:30道立林産試験場
 メープルの絵のついたお盆、オケクラフト、木のマグカップなどがきれいで良かった。
17:44新札幌発
19:20千歳近辺 カツ定食1,920円、給油3,222
19:40千歳ビジネスホテル豊輪 5,145