1999年8月6日「羅臼・阿寒・斜里・利尻・十勝岳登山」

199986日「羅臼・阿寒・斜里・利尻・十勝岳登山」(計180,460円)
86日(金)
17:30南海難波 ラピート 南海1,400円、ビール他1,000
18:05着 夕食1,400
19:00関西空港発 JAL879便 24,000
 またまた逃げるように会社を離れて、少し夏風邪気味だけど北海道に向かう。広々とした空港は気持ちのいいものだ。短い間だけれどゆっくり大自然に浸りたい。短い期間なので、いつものようにあっという間に休みは終わり、職場に戻ることになるだろうが、できるだけ冷静に今の状況や今後のことを見つめ直したい。
20:55千歳空港着 弁当1,600
21:32発 JR周遊券23,750円 JRの駅で今晩の網走への指定券や、稚内の利尻への指定券が取れた。これで座席の心配無く旅が進められる。
22:13札幌着
23:00
 
87日(土)めちゃくちゃいい天気だ。嬉しい。夜行のオホーツクで北見を過ぎたころ急に眼が覚めるが、外は快晴で明るい。混雑していた自由席の乗客はいつの間にか消えていた。
6:15網走着、カメラフィルム、ロッカー、パン2,130
網走では駅前に24時間営業のローソンができている。斜里までの列車からは知床連峰がずっと見えていた。テント泊にせずに軽装で羅臼岳へピストンすることにする。
 6:44網走発
 7:24斜里着
 7:55発 斜里バス往復3,740
イメージ 111:10銀冷水
12:00羅臼
イメージ 512:4013:20羅臼岳
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イメージ 2岩尾別からの登りは、運動不足の上に寝不足で胃の疲労もあって、ガイドブックの時間通りでしか登れなかった。でも最初から硫黄岳の方も見えているし、オホーツク海もとても青くて美しい。森も最初から美しいブナ林で、全く無駄がない美しさだ。やはり北海道の山はいい。バテているせいもあるが、硫黄岳への縦走ルートは思ったよりもアップダウンがあって厳しそうだ。国後の爺々岳も聳えており、真っ青な海と空、緑の半島、ほんとうに絶景だ。晴れていたら左右に真っ青な海が見下ろせて気持ちいいのかもしれないけれど、午後になるともう上部がガスに覆われている。硫黄岳の方はまた次の機会に来よう。
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イメージ 615:40岩尾別温泉下山 ビール400
16:25
17:40斜里 夕食(知床弁当+ビール)2,650
20:23
21:02網走 ホテルサンアバシリ5,000
 
88日(日)ホテルアバシリの1階和室で朝4時くらいに気動車の音を聞いて起きる。外は雨が降っている。こりゃぁ参ったと思いながら、疲れもとれないので布団でゆっくり寝ていたら5時になる。一日ずっと休んでいたい気もしたが、何もないこの網走にいるわけにもいかず、すんなり起きる。荷物を用意しながら朝5時のNHKニュースを見ていると、天候が悪いのはここ網走だけで、他は晴れになっている。うどんを作って食べる。やっぱり加ト吉でないと駄目だ。他のは麺がなんか妙なのだ。
 5:45宿発、少し早めに宿を出て、隣のコインランドリーで昨晩風呂で洗ったシャツなどを乾燥機にかける。15100円だけだったがガスの威力は凄くて、すっかり乾いた。隣に30100円の電気乾燥機があったけど、きっとそれでは乾かなかっただろう。乾燥機はガス式に限る。店主で田舎のおっちゃんっぽい人と話すが、ここは民宿で、バラックのような造りだが素泊りは4,000円だそうだ。1階は食堂もやっており、きさくないいおっちゃんだから次回はここを利用したいと思う。しかし名前と電話番号を聞くのを忘れてしまった。
 6:23網走発 特急オホーツク
 6:49美幌
 またもや何もない駅前で、ほんとうにバスが来るのだろうかと思いながら駅を出ると、左前方にバス待合所がある。阿寒バスの時刻表を1部取り、駅の並びを見たら何もない田舎なのに広いバスのターミナルがあった。おばあちゃんが一人だけ待っている。私は重いザックを担いで1番の停留所に行く。しばらくすると、このような町には不釣り合いな大型観光バスが来たので、乗り込んで一番前の席に座った。
 7:00発 バス2,160
そしてそこから一人、一人とおばあさんが乗ってくる。停留所の名前も「45線」とかいうのがあって、開拓時代の名残が残っている。そのうちにウトウトしていたら、周りの風景はすっかり国立公園らしくなってきて、阿寒バスセンターに着いた。すごく寂れて古いビルだ。それでも2階に温泉があるのですごいすごい。
 8:10阿寒湖バスセンター ロッカー・パン等730
 阿寒湖バスセンターからはタクシーを呼ぶが、6,700円と思ったよりも高かった。タクシーの運転手は長距離のせいか親切で、阿寒のことをいろいろと教えてくれる。いつか移住したいと言うと、手に職をつけてくる人が多いですよ。分譲物件の多い緑駅は小さな町で買物には不便かもしれないが、阿寒一帯から法律で開発が制限されているので自然がいっぱい残っていますよ、などと教えてくれる。途中でオンネトーも通り、エメラルドグリーンの湖面の色も見る。この辺りにキタキツネが2匹いるのだけれど、みんなから食べ物をいっぱいもらっているとか、今は暑いので涼しい所で昼寝でもしているんかなとか話していた。雌阿寒岳は噴火のために本当は登山が禁止されているのだそうだ。けれどもみんな登っているらしい。
8:50オンネトー タクシー6,700
 人気の少ないオンネトー青年の家(噴火のために休業中)で水を汲んで出発する。しばらくは熊の出そうな原生林でびっくりするほど汗をかき始めた。左膝もちょっと怪しい。それでもずんずん登って行く。森林の中でけっこうきつい。
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何とか見晴らしのきく所まで出て、それからいつものように喘ぎながら一歩一歩進んで分岐に着き、そうして噴煙を上げている火口を巻いてようやく頂上が見える。
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 頂上で休む間もなく下り始める。はるか下方に赤い屋根の野中温泉が見えていて、そこを急降下していく。登りと違って一気にガレ場を下る。やがてハイマツのトンネルを抜け、最後の森林を下り切ると野中温泉に着いた。
12:00野中温泉 入浴料300円、ビール300
 バスが来るまで30分しかないので、慌てて入浴料300円を支払って温泉に入る。風呂が廊下の一番端なので急いでいたからうんざりするが、風呂はとても広々として気持ちのいい温泉だ。石鹸が無いけれど、水が噴き出ているので、汗だくで火照っている体に冷水がとても気持ちよかった。入浴後にビールを1本飲み、他に誰も乗っていないバスに乗車した。
12:27発 バス970
 途中で他のバスが事故で側道に突っ込んでいる。観光で来てもあんな事故に遭うとたいへんだなどと、運転手の兄ちゃんと話す。
12:55阿寒湖バスセンター
13:00発 バス2,030
 阿寒湖バスセンターで預けていた荷物をすぐに受取り、ウトロ行きの小型バスに乗り込む。乗客は私を入れて5人しかいないけれども、バスガイドのお姉さんは一生懸命に説明してくれる。なんか気の毒に思える。またウトウトしていたら、大道開発の不動産物件のある奥春別を通りかかる。牧場が広々と広がり、とても気持ちがいい風景だ。
13:50弟子屈 ホッケ定食+サラダ+ビール2,120
 弟子屈はとても寂れていて何もない町だ。夏の観光シーズンだというのに町は死んでいるように静かだ。10分弱歩いて駅に行き、荷物を置いといて食事に行く。駅前には何もないので、少し戻ったAコープ4階の食堂でホッケ定食1200円とビール420円、サラダ500円をゆっくり時間をかけて食べる。
15:20摩周駅 鈴520円、食材(トマト・梅干・パン)930
 15時に駅に戻り、乗車した汽車は原野を走るワンマンカーで、風が入って気持ちいい。ウトウトしていたら川湯温泉をとうに過ぎてしまい、ついにあの気になる緑町に着く。左手に広告のログハウスがポツポツと10棟くらい建っていた。
16:17清里 タクシー4,040
イメージ 11 清里駅前にも同じように何もない。タクシーを呼んで清岳山荘に向かう。途中から砂利道で7kmもあるが、料金は案外安くて4000円だった。これなら明日の帰りはタクシーを呼んだ方がいいかもしれない。
17:00清岳荘着 宿泊代(寝具付)1,000
 清岳荘はプレハブで粗末だけど、寝具付で1000円ととても安い。しかし、沢から引いた水は直接飲めないので、今お湯を沸かしている。小屋の主人は神経質っぽい人で、布団の位置もうるさい。とにかく今日も疲れた。なぜか今回の登山の旅はとても疲れている。体重は76kgでたいして減量してもいない。でも疲れている。空身で登っているのにガイドブックの時間通りしか進んでいない。日頃の疲れが残っているせいだろうか。とにかく仕事で溜まった毒素を抜きたい。
 
89日(月)
 3:45起床して、うどんと梅干を食べる。
 4:55清岳荘出発、沢登りの登山となる。
イメージ 14 7:00斜里岳、快晴で360度の大展望。阿寒や摩周湖の外輪山、知床連峰が見渡せる。
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9:15清岳荘着
 9:45奈良のおじさんがここで知り合った大石君と一緒に車に乗せてくれる。小屋に小ザックと鈴を忘れた。
10:05清里
10:49
11:45網走、コインランドリー650円、旭川ラーメン・ビール2,140
13:55発 特急オホーツク6
17:35旭川
19:11札幌、ロッカー400円、千両ちらし・ビール1,730
22:04発、急行利尻、ビール・耳栓等1,320
 横になって寝れるお座敷車両の指定席に移してもらう。よく眠れて助かった。
810日(火)
 今日も大快晴で、急行利尻から海の向こうに利尻山がはっきりと見える。
 6:00稚内、ロッカー300円、バス150円、弁当850
 6:30稚内港 フェリー1,880円、フィルム・パン等2,140
 フェリーからも利尻山がよく見えた。ちょうどフェリーのテレビでは、BS放送ですずらんが放映されていて、みんな集まって観ていた。
イメージ 208:10泊港
イメージ 22 フェリーを降りて甘露水までタクシーを使おうかと思うが、ちょうど同じことを考えている旭川のホテルマンと知り合い、今日はタクシーをつかまえるのが難しそうだから歩きだした。その兄さんは、富山の弥陀ヶ原ホテルに2シーズン働いていたことがあるが、親の世話のために今は旭川のトーヨーホテルで働いているそうだ。一日行動を共にすることになるのだが、元気でおもしろい人で、道行く人に明るく話しかける。
 9:20甘露水(270m)水は冷たくうまい
イメージ 21 登りはハードで、さすがに3日連続で登っているので疲れも溜ってきている。右奥の歯茎が腫れていて、水を飲んだり食べたりすると結構辛い。特に7合目(800m)から8合目(1200m)がほんとうに辛かった。しかし、このように快晴の日に出会う機会を考えれば進まざるを得ない。一歩ずつ登って行く。
八合目から仰ぎ見る利尻山
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12:15長官小屋(1190m)長官小屋は昼見ると汚れていた。頂上で360度の海を見るのが目的だから、無理にここに泊まる必要もない。
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イメージ 1913:40利尻山1718m)
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 ガレ場で滑りそうになりながら、何とか頂上に立った。絶景だが、フェリーの時間が無く、すぐに急降下し出す。
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イメージ 2314:30長官小屋
16:00甘露水、水がうまくて何杯も飲む
17:00 鴛泊着
イメージ 26 いやぁ、利尻には参った。標高差1700mを、しかも快晴なので脱水症状も起こしながら登るので簡単なわけはない。一日中雲がかかることが無く、前に沓形に上陸した時には悪天候で姿を見られなかったのが嘘のようだ。旭川のホテルマンの兄さんもフェリー発車30分前にかろうじて辿り着いた。
17:30泊港 フェリー1,880円、ビール480
イメージ 2719:10稚内港、実家へカニ・ウニ・昆布の土産10,660円 梅の湯420円、夢広場海鮮丼定食2,260
22:13稚内 急行利尻

811日(水)
 6:00札幌着 弁当1,400
 7:25発 特急オホーツク
 天候で今日の登山を諦めて、荷物は札幌において引き返す。
 9:23再び札幌 ロッカー400
11:3013:30すすきのラーメン横丁900円、ビール1,560
16:00札幌 特急ホワイトアロー
17:20旭川 旭川サンホテル5,250
19:30赤門本店野菜ラーメン700円、ローソン弁当1,260
20:00ホテルで、左右両足小指のマメを口で噛み切って内包水を出す。21時くらいには寝入る。疲れていたせいか変な夢を見る。会社の苦手な上司宛に配達された郵便物を入れるところが壊れて迷惑をかけるのだが、たっぷりと嫌味を言われたり、元の会社でいじめられていた上司が今の会社に来たり、後輩が転職して来てすぐに大きな成果を上げたり、一方で、最初に私を引き上げてくれた上司がかばってくれたり、まさにストレスがごちゃ混ぜになった夢を見た。
 
812日(木)
 5:00起床、雲が出ている
 5:51旭川
 6:25美瑛、バス600
 7:20白金温泉
 8:15望岳台
イメージ 29 9:15十勝岳小屋
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イメージ 3012:20三段山
13:1014:07十勝岳温泉、入浴料800円、ビール他430
 十勝岳温泉では、酸ヶ湯温泉の少し薄めたようなしょっぱい湯を飲んだ後、歯茎が痛いので少し口に含んで消毒代わりにした。十勝岳からの最後の下りで左膝をひねり、今になって痛い。もうこれ以上の登山は無理だ。今回もよく頑張った。
14:50上富良野 バス490
15:52
16:04旭川
18:20札幌着 茶・ロッカー等1,000
19:16発 スーパー北斗22
22:37函館着 ラーメン900
813日(金)
 2:52函館 JR乗車券(函館~高松)18,040
 5:18青森 急行はまなす520円、3両増結して広々座れる
 5:41発 特急はつかり41,300円、サンド・ビール600
 7:55盛岡着、大雨のために1時間遅れる
 9:34発 やまびこ65,850円、弁当・ビール1,500
11:57東京着
12:21発 ひかり号5,660
15:20新大阪
16:20五位堂着 写真現像2,090
 今回の北海道登山の旅はとても散在してしまう。けれども、登った五つの百名山がいずれも快晴で、雨にまったくたたられずに大展望が望めて本当に良かった。斜里岳では、地元の人が三度目の挑戦でようやく知床半島などが見渡せたと言っていた。それを思うと、ずーっと好天に恵まれたのは幸運としか言いようがない。羅臼から知床半島や国後を見渡すことや、利尻山の頂上から360度青い海を見下ろすことができた。十勝岳では久し振りにヒマラヤのような大きなスケールの景観の中の登山も味わえたし、言うことがない。これで百名山も幌尻と羊蹄の二つを残すのみとなった。(浅間山は火山で登れないので除)一つずつだが、夢は曲がりなりにも実現していっている。今回の旅で自分のペースに戻ってゆっくり原点の北海道を再考してみたかったが、登山がハード過ぎて毎日が精一杯のために考える暇がなかった。唯一旭川のホテルでは時間がいっぱいあったのに、疲れていてすぐに熟睡してしまった。帰りの電車でもずーっとウトウトして、あっという間に大阪に帰って来た。そのように何だかわからないままに日が過ぎて、また中途半端に休みが終わりそうだ。阿寒というか、知床というか、斜里の方の畑の緑のじゅうたんは本当に気持ちが良かった。しかし、そのような風景は夏の間だけかもしれない。束の間のにぎわいが終わると、一年のほとんどは人気のない淋しい町になってしまうかもしれないのだ。そのような人気のない町でいったい何をやるというのであろうか。旭川のホテルマンのように、いろいろなリゾートで働いてみるのも一つの生き方だろう。しかし、ほんとうにそれでいいのか。いろんな雑念に囚われることなく夢中になってやれることは何なのであろうか。それが私の問題だ。やっていこうと決意できるものを見つけないといけないのだ。北海度移住も海外へ出ることも、すべて現実世界から飛躍した逃亡であって、まずうまくいくわけがないのだ。まったく収入もなくて、しかも23年かけて技術を習得するくらいの根気がないと難しいのだ。性根を据えて一から専門学校で学び、それからその関係の大学院を目指すなど、徹底的にやることを覚悟できないといけない。また、やることのニーズや、そのために廻り道する自分の年齢も大丈夫なのか、とことん調べる必要もある。中途半端な状態で時間の浪費だけは良くない。とにかく今の時間をもっと大切にしなければならない。北海道の旅のように、ほんとうにのびのびと自分の人生を送れるようになりたいものだ。