2017年12月24日「月と六ペンス」

京都に「月と六ペンス」という喫茶店があります。観光地からは離れた市の中心部。昭和初期のようなビルの二階、マフィアのアジトのような古びたドアを開けると、12畳ほどの木造の部屋の真ん中に厨房、その回りに窓と壁に沿って木のカウンターが窓側にはりめぐらされ、1mに一人という長い間隔で木の椅子が窓に向けて配置されてます。聞こえるのは主人のコーヒーをドリップする音かカップ洗う音、そしてかすかにジャズっぽいBGM流れてる、オーダーも自然とひそひそ声になる、そんな静かな空間です。主人は仕事が一段落すると窓外に向いて座ってる私達に気をつかってるように背を向けて、壁に向かって立ったまま文庫本読んでます。まるでサイレント読書サークル。どうです?一度来たくなったでしょう!
月と六ペンスは想い出の本です。もともと勧善懲悪、正しものが最後に勝つ、もひとつスコッチが好き、で、英国文化と文学大好きで、モームの「人間の絆」も忘れられない本です。そこにモームの月と六ペンスは非常に深い思索を与えてくれました。タヒチゴーギャンという非日常性に思いを馳せながら、都会の真ん中で別世界に浸る幸せなヒトトキです。
イメージ 1