1995年10月20日~22日「大朝日岳・蔵王」

19951020日~22日「大朝日岳蔵王35,050円)
1020日(金)
23:00東所沢ビール340
出発する直前に友人から電話が入り、すごく天気のいい週末なのでどこかに行かないかと誘われたが、もう出かけようとしていたので、11月にまた一緒にどこかに行こうと言って電話を切る。今回も一人登山だけれど、のんびり行こう。一人山行もあとわずかだ。
23:43大宮快速ムーンライトJR6,170 

1021日(土)
6:02坂町JR640
米坂線があと1時間弱あるので、待合室で弁当を食べている。昨晩は雨だったみたいで道路が濡れている。しかし、今は雲は多いものの、ところどころ雲の切れ目から真っ青な空がのぞいている。もう冬のような感じがする天候で、登山シーズンもそろそろ終わりなのだ。今日の登りはけっこう厳しそうで時間がかかりそうだ。ゆっくり登ることにしよう。ただ今日登り切れば、明日は下りだけなので頑張ろう。
8:12小国タクシー9,010
小国からタクシーを飛ばして一気に大石沢の登山口まで入る。かなり距離があり9000円もかかるが、1時間くらい予定よりも早く着けたのでよかった。五味沢から歩いていたらたいへんな距離だった。一気に短縮できたのはよかったが、そこで変な気を起こし、宗教色のない朝日連峰で唯一祝瓶山には祠があるというので、時間があるのでそちらに回っていろいろお願いしようとする。
9:00大石平登山口(455m)
イメージ 1  900mくらいの尾根を一気に登り、Tシャツだけでも寒くなくて汗をたらたらかいてしまう。ただ、雑木がきれいな山深い登山道だ。朝日への分岐に荷物をデポして頂上へ手ぶらで向かうと、上から三人の中年の人たちが降りてくる。ずいぶん遠くからこんちはと声をかけてくれ、とても気持ちいい。朝日へ行くというと「たいへんね。頑張ってね。」とおばさんに励まされる。
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イメージ 311:20祝瓶山1417m
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  頂上に着くと案外何もなく、少し祠を探したが向こう側に降りるわけにもいかず、頂上の碑に向かってお祈りし、天候の良さも御礼して引き返す。降りていくとガスの中に入り、先ほどすれ違った人たちがしきりに笛を吹いている。分岐で追い付いて理由を聞いてみると、尾根近辺で熊に出会ったそうだ。物凄く大きくてびっくりしたそうだが、向こうが先に気がついて逃げたそうだ。そこからは私一人が朝日の方に道を取るので、おばちゃんが気をつけてねと言ってくれる。
イメージ 512:40そこからはアップダウンがきつくなり、相変わらずへロへロになって、見晴らしのいいところに座ってみかんとパンを食べて休憩する。祝瓶山から400m下り、また400m登って大玉山に向かうことになる。ヘロヘロになりながらも進むしかないので、何とか進んでいくと、ようやく少し広い頂上に出る。
13:35大玉山(1438m
イメージ 6  平岩山の方向が開けて見え、左手に分岐で別れた五味沢からの道が見える。平岩の向こうの大朝日岳は雲に隠れている。しかし、北大玉山や平岩山へのアップダウンが凄く、厳しく、遠く見えた。うんざりするが進むしかない。ゆっくり着実に進んでいく。大玉山から鞍部への下りは急でつるつる滑り下りにくかったが、何とか抜けて行き、そこから分岐になっている所までゆっくり登って行く。もう森林限界を越えて、とても気持ちの良さそうな尾根が近づいている。分岐に何とか辿り着き、水を少し飲んで、また歩き出す。
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イメージ 814:30北大玉山(1468m
イメージ 9  北大玉山への登りも少しずつゆっくり登ってなんとかクリアするが、そこから平岩山への道がまたアップダウンしている。ゆっくり何とか行くが、平岩の下の谷の木々が太陽光を受けてすごくきれいで写真に撮る。そして、その木々のある谷に水が湧き出ていて、少し登ったところから水場に向かって真っすぐに延びている場所に急いで行き、水を半分汲んで来た。飲んでみるとうまかった。そこから平岩山に登り、頂上を避けて大朝日への道を取る。
15:20平岩山(1609m
イメージ 10  相変わらず大朝日の頂上は、晴れる瞬間もあったが、またガスに包まれている。あいかわらず一人ぽっきりで広い登り斜面を進む。しばらく歩いて行ると右手からガスがどんどん吹きこんできて、あっという間に一面何も見えなくなる。そんな中、頂上への高度差300メートルを我慢してゆっくり登って行くが、1700mを越えてからはほんとうにきつかった。足がだるくて、ゆっくりゆっくり、少しずつしか登っていけない。高度計が1800mを指した頃、一瞬、頂上が晴れる。すぐそこに見えているのにまったく近づかない。ほんとうにきつかった。
16:17大朝日岳1870m)またバテた。
イメージ 11  なんとか登り切って、やっと座り、パンを食べて水を飲む。しかしガスが吹き上げてきて寒くなってきたのでゆっくりしている間もない。慌てて下方に見えていた小屋に急いだ。
17:20大朝日小屋(1775m
大朝日小屋に到着してダウンした。登山中はほとんど人に会わなかったのに、小屋にはまあまあ人がいる。1階には私を入れて6人、2階にも何人かいる。ただ、ゆったりスペースが取れるくらいの人数なので嬉しい。祝瓶にこだわって竜門へ行けなかったが、よくここまで登れたと思う。これで中途半端に登っていた懸念の百名山も完登でき、朝日にも思い残すことがなくなる。明日は古寺か日暮沢の方を通って見附に降りよう。
17:53牛丼とトン汁を食べて、今コーヒーを飲んでいる。この小屋から水を汲むために水場まで下って行ったが、結構疲れていたのですごく体にはこたえた。夜半、シェラフが寒くて何度も寝がえりを打つが、毛布を下に引いても薄くてマット代わりにならず、体を横に向けると下にした腕が痺れて何度も体の向きを変えざるを得ず、なかなか熟睡できなかった。2時間おきに目が覚めて、なかなか夜明けが来なかった。山小屋は人も少なくてスペースも十分だったが、晩秋には暖かいシェラフと。できればローソクがあればいい。 

1022日(日)
4:30起床
明け方4時過ぎに隣の夫婦がゴソゴソと起き出す。もっと寝て夜明けを待とうかとも思ったが、何だかじっとしていられず、起床した。トイレがてら外に出ると、凄いガスで何も見えない。仕方なく戻るが、今さら眠れないし、寒いので湯を沸かしてコーヒー飲んで体を暖めてから、昨晩作った弁当にお湯をかけてお茶漬にして食べる。そしてもう一杯コーヒーを沸かして飲む。ゆっくり熱いコーヒーを飲みながら荷物を整理するが、燃料のガスがほとんど無くなったのでそのまま燃焼させてしまった。5分ほどかかったが、ほとんど火力のないままにだんだん燃え尽きていった。ついでにヘッドランプの乾電池も試して、駄目になっているものを選別する。そうこうしながら荷物を入れ直している間に、早起きした隣の上の山から来た夫婦が、重い荷を背負って山頂に向かって行った。入口にいた人も頂上へピストンしに出る。私はガスで何も見えないので、明るくなるまで待ってから出発した。
5:50大朝日小屋出発
だんだん明るくなってきている。小屋の前の朝日神社にお祈りしてから、ガスの中を下り始める。本当は右手の方がすごい崖になっているのかもしれないが、ガスで何も見えない。ただ道は緩く歩き易いので、どんどん下って行く。銀玉水を過ぎてしばらく気持ちのいい尾根を行くと、ようやく樹林帯になる。しばらく行くと右下が崖となり、小朝日が近づいてくる。
6:30小朝日分岐
イメージ 12  少し登り返すと分岐になり、小朝日を登らずに巻き道を辿る。巻き道と言っても上りで、歩きにくい根っこや笹の上を進んでいく。思ったよりもかなり進んでからようやく正規の道と合流し、また気持ちのいい尾根道を下って行く。まだガスの中だ。やがて少し登り返した所が古寺山で、そこから花折山はまた登らないといけないのかとビクビクするが、200メートルくらい下ったところで日暮沢の分岐となり、多少登るのかと思いきや、そうではなく、しばらくすると一服清水に出た。
イメージ 137:35一服清水(花折の下)
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大朝日小屋の中で泊まりのおじさんたちが「あそこの水はうまい」と言っていたので、飲んでみると、確かに甘くて美味しく感じた。その水をタンクいっぱい2ℓ汲んだ。湧水なので分子が細かいから、きっと体中に浸み込んで汚い体液を洗い流してくれそうだ。このおじさんたちは昨晩、新潟の人は選挙に行かないと誰それが来ないと言われるので選挙をサボれない(だから田舎は嫌なんだ)とこぼしていた人たちだ。そこからはずっと下りで、紅葉の中をとても感じのいい山道を下って行った。途中の山は、あの美しい茶色の葉に銀色と黒と灰色の幹に飾られたブナが点々と斜面に生えていて、山全体がとても柔らかな、春の桜と違って薄茶というか、白に近い茶色というか、とても山容をやわらかに見せている。やがて沢の音が聞こえる辺りから急な下りになり、一気に下りると沢の隣に凄く古びた古寺鉱泉があった。
イメージ 158:20古寺鉱泉650m)風呂300円、ビール600
イメージ 16  お風呂にはいれるか聞くと大丈夫で、入っている女性が化粧をしているのを待つ間、大盛り枝豆付きのビールを飲む。そして見附までの時間を聞くと、バスは日曜で出ていないと言われる。仕方がないから誰かに乗せてもらうしかないと諦めて言ったら、奥に座っていた感じのいい63歳のおじいさんが、山形弁で「おらが乗せてってやる」と言ってくれた。素直に「お願いします」とお礼を言い、「昼前に下ればいいのでゆっくりしてけれ」と言ってくれるので、ビールを飲んだ後、鉱泉に入らせてもらう。赤茶色の鉱泉だが、沸かしているらしく、とても熱い。恐る恐る入る下の方は少しぬるくて、かき混ぜるとちょうど良くなった。しかしあまり待たせてもと思って、頭と体を洗ってきれいにしてから、服をすべて着替えて出る。そして準備OKと伝えたら、小屋の番人のおばさんがお茶を入れてくれ、川口先生と小屋番夫婦にアルバイトのおばさんで茶卓を囲んでお茶を戴いた。大朝日小屋の管理も県から頼まれてしているそうだ。しかし、小屋の素泊り料1,000円はアルバイトで登って番をした人の収入になるそうで、県から下る管理料も途中の小役人が懐に入れてちょろまかしているんだろうと言っていた。それはまあいいとしても、とにかくこの古寺鉱泉は古い建物だが、とてもよかった。
9:25発親切な川口先生に車に乗せてもらう。
お茶を飲み終わると川口先生が「さあ、行くか」と立つ。後をついて行き、靴を履いて出発する。見送ってくれたおばあちゃんに「世話になりました」と御礼を行って古寺鉱泉を去る。5分も歩くと駐車場に着き、きれいなワゴンの先生の車に乗せてもらう。先生は鳥海山で足の骨を折ってからは、もっぱら渓流釣りをしているそうだ。古寺まで下った後、神通峡に寄る。
10:00神通峡を10分ほど散策する。
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 先生は斜面に生えている大文字草を取り、とてもきれいな沢を歩いて橋まで渡ったら、そこで引き返した。ダダラ沢で頭の上に枯れ葉が落ちてきて載っかかる。空を見ると、紅葉の終わった茶色い枯れ葉がさらさらと降ってきて、とてもいい雰囲気だ。何もかも忘れてしまえそうだ。川口先生は定年になっていろいろと行って遊んでいるそうだ。古寺鉱泉に泊まっていた人たちとすれ違い、ワゴンに戻って、しばらく運転して古寺に引き返す。分岐のマスの養殖をやっている所で車を停めると、古寺鉱泉のおじいちゃんがバイクで降りてきてマスを何匹か取っている。そこはおじいちゃんの本家で、鉱泉にはここから有線が通っていて連絡するそうだ。「マスも山菜もすべて自家製で、元手ゼロだ」と川口先生が笑って言った。そこから柳川に向けて車はゆっくり進んでいく。途中の峠からは朝日連峰が一望できる。大朝日から以東岳までほんとうに長い。ちょうど竜門が真ん中辺りで、以前、よく以東から竜門までいったものだと自分ながら感心した。残念だが山頂は雲に覆われて見えない。竜門から西朝日が少し見えるくらいだ。そして峠で清水を飲んでから下り、一度、大井沢トンネルをくぐり、また連峰を見て、ようやく柳川に下る。
11:00柳川着凄くコシの強いそばを食べる。2,000
柳川でバスの時間を見るが、ここも日曜は休みでない。先生が気の毒がって少し上の柳川温泉に行ってみるが、やはりない。川口先生は同級生に会う用事を済ませたら送ってやると言ってくれて、好意に甘える。それから少し下った所の同級生の家に寄るが、会えずに待つことになり、少し上のそば屋で時間をつぶすことになる。柳川そばは自家製でとても硬く、中盛りを食べるが美味しい。先生は半分残して私にくれる。お新香と舞茸の辛し漬けをアテに食べる。最後はそば湯を飲んでと、先生の同窓生らしい人達の連れが6人くらい来た。そこで挨拶をしたらすぐ、申し訳ないことに顔を見ただけで私を送るために別れて、左沢に向かった。
11:50
12:19左沢ビール230円、JR470
左沢に着くとちょうど汽車があった。先生の住所と名前をお聞きして、御礼を言ってお別れした。あとで先生には御礼のお菓子をお送りしたら、サクランボがきれいに写った絵葉書を返してくれた。先生はさくらんぼの里の寒河江に住んでいるそうだ。左沢線に乗って、草が生えているような線路を走り、やがて学生がいっぱい乗ってきた。
12:59山形着新幹線代9,450
荷物をコインロッカーに入れて、蔵王温泉に向かう。
13:40発バス往復1,540
山形交通の待合所の自動券売機で切符を買い、観光バスのようなきれいなバスで温泉に向かう。
あいにくの雨模様となったが、15分おきの発車時間に間に合うように走る。目指すロープウェイは蔵王中央ロープウェイよりももう少し先にあり、息を切らして往復切符を買い乗り込むと、他に5人ほどの人が乗車していた。
14:30蔵王ロープウェイ駅ロープウェイ往復2,200
14:53山頂駅
樹氷の森を越えて頂上に着くと雨が降っていた。パーカーを着こんで、ガスが出て霧雨の降っている中を地蔵岳に向かう。
15:05地蔵岳1736m)雨模様
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イメージ 20  木の標識を頼りに熊野岳に向かうが、結構距離がある。近道の岩場をどんどん登り、ようやく誰もいないガスに覆われている頂上に着いた。この悪天候は、世の中そんなに甘くはない、心がけが悪いと頂上の神様仏様に言われているようだ。
15:20熊野岳1840m)
イメージ 22写真を撮って蔵王山神社にお参りして帰路に着く。
イメージ 2315:45地蔵岳 地蔵岳でも大きな石の地蔵さまに御礼とお願いをする。
イメージ 2416:00ロープウェイ頂上駅
霧雨でびちょ濡れになるが、ロープウェイで下る時には晴れだした。
17:25山形すき焼き弁当・ビール1,850
17:30発臨時のつばさ号、ビール250
山形に着いて、自由席に座るために1時間先の新幹線に並ぼうとしたら臨時のつばさに乗ることができた上、奇跡的に自由席に座ることもできた。蔵王山神社の神様と地蔵岳のお地蔵さんの御蔭と感謝する。山形駅で買ったあったかい米沢牛のすき焼き弁当を食べる。ナイロンの糸を引くとほっかほかの弁当になる。熱々までは行かずぬるめだが、それでもとても美味しかった。
19:57大宮着
20:40東所沢着